「式神」PDA版バイナリ・キットのインストレーション・ガイド


1. はじめに

「式神」PDA版のインストールは、次の条件を前提にしています。
条件
  1. 動作機種として「COMPAQ iPAQ H3600シリーズ」を対象としています。
    以下、「COMPAQ iPAQ H3600シリーズ」をiPAQと表記します。

  2. iPAQ に 「handhelds.org Linux Familiar v0.4 distribution」がインストールされている事。
    以下、「handhelds.org Linux Familiar v0.4 distribution」をFamiliar Linuxと表記します。

  3. Familiar Linuxのrootパーティションに、task-familiar-complete.jffs2がロードされている事。

  4. 「式神」PDA版バイナリ・キットのインストールは、 Familiar Linuxのインストール直後の状態から行なう事を前提にしています。

  5. iPAQで、CFメモリ・カードが使用可能な事。
    (CFメモリ・カードの容量については、後述の「動作環境」を参照)

注意
  1. iPAQへのFamiliar Linuxのインストールは、ユーザの責任で行なってください。 何が起こっても、株式会社アックスは一切の責任を負いません。

  2. Familiar Linuxのインストールについての詳細は、 http://www.handhelds.org/ をご参照ください。

  3. 「式神」PDA版バイナリ・キットをインストールすると、Familiar Linuxに入っている、 いくつかのパッケージが削除されます。

    展開スクリプトsikigami-ipaq-ex101 あるいは sikigami-ipaq-ex101-cfの中で、 ipkgコマンドを実行して削除しています。
    (スクリプト中の 'ipkg remove <パッケージ名>' の箇所)

    パッケージを削除したくない場合は、予めバックアップをとっておくか、 展開スクリプトの該当行を削除してから、インストールするようにしてください。

    削除されるパッケージ

    • madplay
    • task-games
    • xvkbd
    • task-mp3-player
    • blackbox
    • checkers
    • fscrib
    • gdk-imlib1
    • libfltk1
    • libglade0
    • libglib1.2
    • libgtk1.2
    • libstdc++2.10-glibc2.2
    • libungif3g
    • libxml1
    • libxmltok1
    • loadmeter
    • python
    • rxvt-aa
    • qiv

  4. 「式神」PDA版バイナリ・キットをインストールすると、インストールされているFamiliar Linuxの いくつかの設定ファイルを上書きして変更します。 必要なデータは予めバックアップを行なってください。

    ホストネーム、アカウントの設定等、次のファイルを上書きします。
    インストール後にユーザの環境に合わせて、適宜変更してください。

    • /etc/hostname
    • /etc/hosts
    • /etc/passwd
    • /etc/fstab
    • /etc/init.d/x
    • /etc/pcmcia/config
    • /etc/pcmcia/network.opts

  5. インストール用/起動用のCFメモリ・カードの作成時に初期化を行います。 インストールの作業の前に、CFメモリ・カード上の大切なデータのバックアップを必ず行ってください。

本インストレーション・ガイドでは、Familiar Linuxインストール直後の状態から、 「式神」PDA版を起動するまでの手順を説明します。


2. 動作環境

「式神」PDA版バイナリ・キットを使用するには、次のものが必要です。


3. インストール用CFメモリ・カードの作成手順

3.1. はじめに

インストール用CFメモリ・カードの作成は、PC上のLinuxを用いて行います。 CFメモリ・カードへの読み書きを行えるようにLinuxの設定を別途行っておいて下さい。 作業は rootアカウントで行います。

次の手順では、 CFカードのデバイスは /dev/hdc に見えているものとしています。 CFカードのデバイスが何に対応しているかは、 カード挿入後に dmesg のメッセージを見ることで確認できます。 実際の作業では、確認の上、自分の環境にあったデバイスを指定して下さい。

3.2. パーティションの作成

fdisk を用いて、パーティションの切り直しを行います。

基本領域1に EXT2 で全てのサイズを割り当てます。

128MbyteのCFメモリ・カードでの作業例を以下に示します。

 # fdisk /dev/hdc
 
 コマンド (m でヘルプ): p
 
 ディスク /dev/hdc: ヘッド 8, セクタ 32, シリンダ 978
 ユニット = シリンダ数 of 256 * 512 バイト
 
  デバイス ブート   始点      終点  ブロック   ID  システム
 /dev/hdc1             1        25      3184    1  FAT12
 /dev/hdc2            26       978    121984   83  Linux

   (このように、既に存在するパーティションが表示されます。
    次の手順で、すでに存在するパーティションを削除します)
 
 コマンド (m でヘルプ): d
 領域番号 (1-4): 1
 
 コマンド (m でヘルプ): d
 領域番号 (1-4): 2
 
 コマンド (m でヘルプ): n
 コマンドアクション
    e   拡張
    p   基本領域 (1-4)
 p
 領域番号 (1-4): 1
 最初 シリンダ (1-978, 初期値 1): 
 初期値 1 を使います

 終点 シリンダ または +サイズ または +サイズM または +サイズK (1-978, 初期値 978): 
 初期値 978 を使います

 コマンド (m でヘルプ): p
 
 ディスク /dev/hdc: ヘッド 8, セクタ 32, シリンダ 978
 ユニット = シリンダ数 of 256 * 512 バイト
 
  デバイス ブート   始点      終点  ブロック   ID  システム
 /dev/hdc1             1       978    125168   83  Linux
 
 コマンド (m でヘルプ): w
 領域テーブルは交換されました!
 
 ioctl() を呼び出して領域テーブルを再読込みします。
 
 警告: DOS 6.x 領域を作成、または変更してしまった場合は、
 fdisk マニュアルページにある追加情報を参照してください。
 ディスクを同期させます。

3.3. mkfs

パーティションに対して mkfs を実行します。手順は次の通りです。

 # mkfs -t ext2 -m 0 /dev/hdc1
 mke2fs 1.18, 11-Nov-1999 for EXT2 FS 0.5b, 95/08/09
 Filesystem label=
 OS type: Linux
 Block size=1024 (log=0)
 Fragment size=1024 (log=0)
 47104 inodes, 187888 blocks
 0 blocks (0.00%) reserved for the super user
 First data block=1
 23 block groups
 8192 blocks per group, 8192 fragments per group
 2048 inodes per group
 Superblock backups stored on blocks: 
         8193, 24577, 40961, 57345, 73729
 Writing inode tables: done                            
 Writing superblocks and filesystem accounting information: done

3.4. マウント・ポイントの作成

CFメモリ・カード上のファイル・システムをマウントするための ディレクトリ作成します。次のようにして作成して下さい。

 # mkdir /mnt/cf

3.5 バイナリキットに含まれるファイルのコピー

式神バイナリキットに含まれるファイルを、CFメモリ・カードEXT2のパーティションにコピーします。 次の手順でコピーしてください。

 # mount -t ext2 /dev/hdc1 /mnt/cf
 # cp sikigami-ipaq-cf2.tgz /mnt/cf/
 # cp sikigami-ipaq-sg101.tgz /mnt/cf/
 # cp sikigami-ipaq-ex101 /mnt/cf/
 # cp sikigami-ipaq-ex101-cf /mnt/cf/
 # sync; umount /mnt/cf

各ファイルについて

以上で、インストール用CFカードの完成です。


4. 「式神」PDA版の起動手順

4.1. 起動手順の概略

「式神」PDA版を起動する手順の概略を説明します。

注意
  • 「式神」PDA版バイナリ・キットのインストールは、 Familiar Linuxのインストール直後の状態から行なう事を前提にしています。

  • ただし、iPAQにFamiliar Linuxをインストール後、Familiar Linuxの起動を二回以上行なって、 Linuxの起動に問題が無い事を確認してから、式神のインストールを行なうようにしてください。

  • 初回のLinuxの起動後に限り、ブートローダのlinuxargsの設定が書き変わる事があるようです。

  • Linuxの初回の起動で、ブートローダのlinuxargsの設定が書き変わった場合、 linuxargsを正しい設定に戻してから、式神のインストールを行なうようにしてください。

    ブートローダのlinuxargsの設定に関する詳細は、 http://www.handhelds.org/ をご参照ください。

4.2. Linux設定ファイルおよび式神バイナリの展開

次の手順で、Linux設定ファイルおよび式神バイナリを展開します。

  1. CFメモリ・カードを取り外した状態で、iPAQの電源を入れます。
  2. ブートローダの画面から(Q)キーを押し、Familiar Linuxを起動します。
  3. しばらくするると、X Windowが起動します。
  4. iPAQにCFメモリ・カードを挿入します。
  5. デスクトップをタップし、メニューを表示します。
  6. Ultilities/Input Method /xvkbd を選択し、ソフトキーボードを表示します。
  7. デスクトップをタップし、メニューを表示します。
  8. 一番下の項目 Rxvt を選択し、コンソールウィンドウを表示します。
  9. コンソールウィンドウのタイトルバーをドラッグし、'#' プロンプトが見える状態にしておきます。
  10. ソフトキーボードから次のコマンドを入力し、実行します。
     # cd /
     # mkdir cf
     # mount -t ext2 /dev/hda1 /cf
     # /cf/sikigami-ipaq-ex101
    
  11. 設定ファイル展開後は、自動的にリブートします。リブート後は、ブートローダの画面が表示されます。

内蔵フラッシュメモリが16Mbyteの機種の場合
  • 上記手順の中で、/cf/sikigami-ipaq-ex101 を実行する代わりに、 /cf/sikigami-ipaq-ex101-cf を実行するようにします。 この場合、式神バイナリは、CFメモリ・カード上の'/sg'ディレクトリ以下に展開されます。

  • 以降、インストール用のCFメモリ・カードは、起動用のCFメモリ・カードとして使用します。

  • インストール後、CFメモリ・カード上に必要なファイルは、'/sg' ディレクトリ以下のみです。 CFメモリ・カードに残っている、次のファイルは、削除しても問題ありません。
    • sikigami-ipaq-cf2.tgz
    • sikigami-ipaq-sg101.tgz
    • sikigami-ipaq-ex101
    • sikigami-ipaq-ex101-cf

  • 起動用として、別のCFメモリ・カードを使用する場合
    • 上記手順に従って、一旦インストール用CFメモリ・カードに、'/sg'ディレクトリを展開します。
    • インストール用CFメモリ・カードの'/sg'ディレクトリ以下の内容を、 起動用のCFメモリ・カードにコピーして使用します。

  • '/sg'ディレクトリのコピー手順

    インストール用のCFメモリカードの'/sg'ディレクトリを、 起動用のCFメモリカードにコピーするには、 例えばPCのハードディスクを経由させる場合、次のような手順になります。

    • 予め起動用のCFには、インストール用のCFと同様に、EXT2パーティションを作成しておきます。
    • 作業はPC上で rootアカウントで行います。
    • PCにインストール用のCFを挿入。
    •  # mount -t ext2 /dev/hdc1 /mnt/cf
       # cd /mnt/cf
       # tar cf - sg |(cd /tmp ; tar xfp -)
       # sync; umount /mnt/cf
      
    • インストール用のCFを取り外し、起動用のCFを挿入。
    •  # mount -t ext2 /dev/hdc1 /mnt/cf
       # cd /tmp
       # tar cf - sg |(cd /mnt/cf ; tar xfp -)
       # sync; umount /mnt/cf
      
    • 起動用のCFを取り外す。

シリアル端末が使用できる場合
iPAQがX Windowを起動した後、シリアル端末からrootアカウントでログインします。
上記コマンドを実行すれば、Linux設定ファイルを展開出来ます。
Familiar Linuxの初期状態では、rootのパスワードはrootmeに設定されています。
シリアル端末のボーレート設定等の詳細は http://www.handhelds.org/ をご参照ください。

4.3. 「式神」PDA版の起動

次の手順で「式神」PDA版が起動します。

  1. CFメモリ・カードを取り外します。
    (内蔵フラッシュメモリが16Mbyteの機種の場合、 起動用のCFメモリ・カードを、挿入します)
  2. ブートローダの画面から(Q)キーを押し、Familiar Linuxを起動します。
  3. しばらくすると、X Windowが起動し、タッチパネルのキャリブレーション画面になります。
  4. 順に十字位置をタップし、キャリブレーションを行ないます。
  5. キャリブレーションが終了すると、「式神」PDA版が起動します。
タッチパネルのキャリブレーションは、初回のみ行なわれます。 キャリブレーション情報は、/etc/xcalibrate.conf に記録されます。 /etc/xcalibrate.confを削除すると、X Windowの起動時に再度キャリブレーションを行なうようになります。

4.4. 日付・時刻の設定


5. リブートの手順

ktermを起動し、rebootコマンドを入力します。 リブート後は、ブートローダに制御が移ります。

 $ su
 Password: rootme (表示されません)
 # sync ; reboot